天なびコラム
第5561話
2016年01月18日
「生もの」で「生き物」
先日姉家族に贈り物をする機会がありました。
子供の頃姉がエビ好きだったことを思い出し、思い切って伊勢海老を送ることにしました。
インターネットで探すと産地直送、新鮮を謳う商品があり、早速送りました。
姉家族はさぞ喜んでくれるだろうと思っていたのですが、後日姉から掛かってきた電話は想像と違っていました。
すごく美味しかったけれど、家が大騒ぎになったというのです。
話を聞くと、原因は海老が新鮮を通り越して元気だったことでした。
海老が届いた日、仕事の姉に代わり荷物を受け取ったのは姉の長女でした。
彼女はあまり生き物が得意ではなく、荷物を開けたところ生きた伊勢海老が出てきてかなり面食らったそうです。
母親に「生ものって書いてるのに生き物が届いたよ!」とよく分からない電話をし、助けを仰いだそうです。
しかしそんな彼女に追い打ちをかけるように母親は、海老を鍋に移して冷蔵庫に入れるよう指示し、電話を切ったそうです。
姉家族では母親の命令は絶対で、長女は跳ねる海老に怯えながらも、なんとか鍋に移して冷蔵庫に押し込んだそうです。
その後次女が帰宅したのですが、彼女は大の生き物好きでした。
冷蔵庫の伊勢海老を見つけるやいなや、案の定飼いたいと言い出したそうです。
夕方母親が帰宅したときには彼女の伊勢海老愛はかなりのものになっていたそうです。
その後父親が帰宅し、伊勢海老の今後について家族会議を開いたそうです。
会議は紛糾したものの何とか次女の説得に成功し、皆で食することが出来たとのこと。
父親曰く、次女が一番伊勢海老をおいしいと食べていたそうです。
姉には家庭を混乱に陥れたことを謝りつつも、食の教育的な経験もできたということで良しとしてもらいました。
執筆者:シゲル