天なびコラム

第5601話

2016年02月27日

春の足音

雪国で生まれ育った私にとって、「春の足音」は、目で見て感じるものでした。
春が近づくにつれて、道路脇にそびえていた雪の壁が徐々に低くなりました。
そしてついに土が現れ、光あふれる生命力に満ちた季節の到来を告げるかのように、地面からふきのとうが顔を覗かせるのでした。
春の訪れはいつも劇的でダイナミックでした。

しかし、雪国を離れて都会で暮らすようになり、こうした春の足音はすっかり聞こえなくなりました。
まるで不意打ちのように桜が咲いて春の到来に気がつく、という年が続いていました。
その分、冬の暮らしが快適なので贅沢は言えませんが、唐突な春の訪れに物足りなさを感じていたのも事実です。

そんな中、お天気ナビゲータに関わるようになったこの春、私には久しぶりに春の足音が聞こえています。
それは桜の「開花メーター」を知ったからです。
桜の花芽が冬の眠りから目を覚まし、少しずつ、春に向けた準備を始めている。
そのことを知っただけで、たとえ真冬に戻ったような寒い日でも、心浮き立つ気持ちになれるから不思議です。

桜の開花メーターは、特集ページの「桜ナビ」や、先日発表したスマートフォンアプリ「桜のきもち」でご覧いただくことができます。
皆様も一緒に、春の足音に耳を傾けてみませんか。
お天気ナビゲータを通して、春を待つ喜びをたくさんの方々と共有できるとしたら、なんて素敵なことだろうと思います。


執筆者:瓢箪