天なびコラム

第6146話

2017年08月25日

潦・庭只海

「陽気とどまりて、初めて退きやまんとすれば也」。暦便覧による処暑の説明です。夏の暑さが初めて収まるころであるわけですが、8月に入って気温が低い日が多かった北日本や東日本の太平洋側では処暑を過ぎてからの方が本格的な夏の暑さが到来したような感じもします。
ところで、厳しい暑さが残ることに伴うのが激しい雷雨。場所によっては道路や家屋などが水につかってしまいます。そんな大雨によってできる水たまりを漢字一文字で表すと「潦」。音読では「ロウ」ですが、訓読では「にわたずみ」と言います。日本書紀や万葉集にも使われている日本古来の言葉です。にわたずみの語源は様々ありますが、その中で「庭只海」と解釈する説がもっとも情景を表しています。つまり「大雨で庭が海のようになってしまう」という意味です。
今日も大気の状態が不安定なところがある模様。激しい雨が降ると低い土地では瞬く間に「潦」ができます。気象情報に留意して「庭只海」になりそうなら早めに安全な場所に避難しましょう。

執筆者:西