天なびコラム

第6147話

2017年08月26日

い草の香り

早いもので、8月も残すところあとわずかですね。
夏も終わりに近づいています。

さて、お盆に実家の畳を張り替えました。
タンスやテレビ台など、重い家具があるにも関わらず、職人さん一人で軽々と移動させ、スピーディーかつ丁寧な作業にとても感心しました。
張り替え作業は1時間ほどで終了し、その後掃除機をかけてから、畳の目に沿って固く絞った雑巾で拭きとっていきました。
新しい畳には光沢や風合いを保つため、い草表面に泥染め加工が施されており、そのまま使用すると衣服に色移りしてしまうからです。
一度拭いただけでは色は取れず、4〜5回は拭いたでしょうか。これがなかなか根気のいる作業でしたが、い草のよい香りに包まれそれほど大変には思いませんでした。
い草には、フィトンチッドという樹木が発散する芳香成分が含まれているそうで、拭いている間にもまるで森林浴をしているかのような癒し効果が感じられたのです。
心地よさがやみつきになり、一度寝転がってしまうと畳の上をしばらく離れられませんでした。
しかし、い草の香りは日が当たると薄れてしまいます。和室は日当りのよい場所にあるので、徐々になくなっていくのだろうと思うと残念でなりません。

フィトンチッドのリラックス効果をしっかり実感したところで、近々本物の森林浴にでかけたいなと思っています。


執筆者:まる