天なびコラム

第6151話

2017年08月30日

稲の夫

夏を象徴する天気と言えば、夕立や雷が思い浮かびます。
近頃の私ですと雷の影響で電車が遅れる場面に遭遇しましたが、このように生活や行動に大きな影響を与えています。

雷と言えば危険であるとか怖いという印象もありますが、稲作の視点では非常に大きな意味を持ちます。
稲の収穫時期が近付くと雷が多くなることから、古くから「雷光が稲を実らせる」という信仰があったそうです。

雷のことを稲妻とも言いますが、この呼び方は「稲の夫(つま)」という表現が語源になっています。
以前は「夫」も「妻」も、男女の区別なく大切な相手を意味する言葉として使われていました。
最近では「つま」と言えば「妻」を使うため、雷のことを「稲妻」と書くようになったことも納得できます。

空がピカッと光ったら、雷のおかげでおいしいお米を食べられると思い起こしてみる。
このように言うと趣があるように聞こえますが、雷を伴った激しい雨はやはり大変危険です。
夏に限らず、雷雨に出会ったらまずは安全な建物の中で身を守って下さいね。



執筆者:えのきー