天なびコラム

第6172話

2017年09月20日

再発達

9月13日に先島諸島に接近した台風第18号は、その後東シナ海で進路を大きく変え、三連休の日本列島を縦断しました。九州、四国、本州、北海道に次々と上陸したこの台風は、一度弱まった後に再発達したという点でも特徴的な動きを見せました。

通常、日本への上陸前後で台風は徐々に弱まります。台風第18号の中心気圧も、日本海に抜けた18日の午前3時時点では980hPaまで上がり、暴風域もいったん姿を消しました。しかし午前6時には中心気圧が975hPaに再低下、暴風域も復活し、その後もしばらく勢力を維持しました。

黒幕となったのは上空の寒気です。本来ならば台風は、熱帯海上の暖かく湿った空気をエネルギー源として発達します。しかしこの時は、台風が南から連れてきた暖かな空気と、大陸から移動してきた上空の寒気とが接近し、あまりの温度差にバランスが崩れ、勢いよく回転しながら混ざり合う力がエネルギー源となりました。

実はこれは温帯低気圧の発達のメカニズムです。この時点ですでに、台風第18号は温帯低気圧としての性質を強めていました。それでも気象庁が台風として扱い続けたのは、温帯低気圧に変わったと発表することで警戒が薄れてしまうのを避けたかったのだと思います。被害の防止が何より重要、気象庁のそんな強い意志も垣間見えた、台風第18号の再発達でした。


執筆者:ヒョウタン