天なびコラム

第6180話

2017年09月28日

電子パーツ

こどもが夏休みの宿題で、ダンボールを使って小さな家を作りました。
カッターナイフを使うときだけ注意して、後は好きなようにさせていたのですが、夏休みが終わる頃には、食卓、勉強机、ベッド、椅子、タンス、本棚がそろい、ペットボトルのフタで作った丼料理も並んだ立派なものになっていました。
学校へは始業式に持って行って、翌日には持ち帰ったのですが、せっかくの力作なので記念写真を撮ることにしました。
ところが、三脚を据えて色々な設定で試したものの、内部が暗くてうまく撮れません。
そこで一念発起して、室内照明をつけようということになりました。

普段なら、こういうときは通販で必要なパーツを買うのですが、早く作って写真を撮りたいという気持ちが強く働き、こどもと一緒に電子パーツ屋に行くことにしました。
パーツ屋に行くのは、電子工作が趣味だった中学生のとき以来です。
昔は、人口10万人程度の市には1,2軒あったパーツ屋も、閉店するかパソコンショップに変わるかして、すっかり数が減ってしまいましたが、運良く都会に住んでいるため電車で行くことができます。

数十年の時を経て、どんな風に変わっているのかとドキドキしながらパーツ屋に入りましたが、PC用パーツや工作キットが増えたほかは、ほぼ昔のままでした。
あえて言えば、スイッチやツマミのデザインがオシャレなものが増えたようでした。
こどもも、抵抗器、コンデンサ、トランジスタなどの細かなパーツが入った引き出しを開け閉めして興味津々です。
そこで周りを見て、はっと気がついたのは、自分たちと同じような親子や家族連れが多いことです。
昔のパーツ屋は、おじさんの集まる所で、中学生の自分でも超少数派だったのですが、今は全世代が万遍なくいる感じでした。
多分、完成品を買うよりも自分で作ったほうが安かった世代が親になり、趣味で続けている人が他の買い物のついでに、家族と一緒に来ているのだろうと思います。

必要なものを買って家に帰り、さっそく小一時間かけて照明工事をしました。
白色LEDのおかげで、単三電池1本で十分に明るい部屋の完成です。
こどもも夜になると電気をつけて楽しんでいます。
コンピュータ全盛の時代ですが、アナログ回路の面白さが少しでも次世代に伝われば良いなと思いました。

ところで、このコラムを書き始めて気がついたのですが、小さな家の写真を撮ることをすっかり忘れていました。


執筆者:チャーリー