天なびコラム

第6184話

2017年10月02日

秋蝉

10月になり、長そで姿も目立つようになりました。「一雨一度(ひとあめいちど:雨が降るたびに気温が1℃下がり秋が深まっていく様)」と言いますが、言葉通りに明後日にかけてさらに秋らしい空気が流れ込んできそうです。
さて、涼しくなると低山歩きが気持ち良い季節になります。先日、里山を少し歩いてきました。まだ紅葉はしていませんでしたが、木陰の道はとても快適で道端に咲く萩や金木犀の花を見るとやはり秋を感じます。そんな中で「えっ?」と思わず声が出てしまう意外な「音」に出会いました。
「ミーン、ミンミンミーン」。そうミンミンゼミです。夏を表す代表的な鳴き声と思い込んでいたので、とても驚きました。調べてみると10月上旬くらいまで鳴くことがあるそうです。
ただ真夏の蝉時雨のように声が重なり合うことはありません。秋の草花の中で響く独唱は何となく寂しさを感じます。
蝉は夏の季語ですが、それとは別に「秋蝉(あきぜみ・しゅうせん)」といった季語があり、古来から俳句や詩に詠まれています。秋らしい寂寥感を表す言葉として使われていることが多いです。
でも、私が感じたのは寂しさだけではありません。時代の流れに逆らっているような秋蝉の姿を応援したくなる気持ちも湧きました。みなさんなら秋蝉の声を聞くとどんな感想を抱くでしょうか。

執筆者:西