天なびコラム

第6281話

2018年01月07日

ストーブ

我が家に小さな電気ストーブがやって来ました。「遠赤外線ヒーター」と呼ばれるタイプのものです。スイッチを入れればすぐに温まるうえ、エアコンと違って空気が乾燥することもないため、一人で机に向かう時などに重宝しています。

この電気ストーブ、改めて見るとなかなか不思議な装置です。エアコンのように温風を出したり、床暖房のように触れたものを直接温めたりするわけではありません。離れた場所にある人や物を温めてくれますが、熱はその間にある空気を素通りしています。

これは「放射」や「輻射」と呼ばれる現象で、太陽が地球を温めるのと同じ原理です。物質が熱の一部を電磁波に変えて放出し、それを吸収した物質の温度が上がることで、離れた場所にある物質の間をまるでワープのように熱が移動するのです。

そう考えると、はるか宇宙の彼方にあって、これだけの熱を届けてくれる太陽は、なんと強力なストーブなのでしょう。電気仕掛けの「小さな太陽」のお世話になりながら、本物の太陽のパワーに驚嘆する日々です。


執筆者:ヒョウタン