天なびコラム

第6309話

2018年02月04日

東風(はるかぜ)

今日は立春。暦の上では春を迎えましたが、天気図に目を移すと大陸から強い寒波が襲来している様子がわかります。現実にはまだしばらくは冬が居座りそうです。
ところで七十二候では立春の初候を「東風凍を解く(はるかぜこおりをとく)」表現しています。文字通り「東風が氷を解かし始めるころ」の意味です。ここでひとつ疑問が湧きます。「東風をどうして「はるかぜ」と読むのか。また氷を解かすのは東風なのか。南風ならわかるけれども・・・」。確かに東風にはあまり暖かいイメージがありません。
理由は「東」の意味にあります。中国には万物を木・火・土・金・水の5種類の元素に分ける「五行思想」があります。方位も例外ではなく木東、火南、土中央、金西、水北の五方に分けられています。また季節も同様に木春、火夏、土土用(季節の変わり目)、金秋、水冬に分類されています(五時)。これより東と春はどちらも「木」の仲間であることがわかります。つまり東は春を意味する言葉でもあるわけです。
だから「東風凍を解く」は「春の暖かい風が氷を解かす」と解釈します。「東風」と書いて「はるかぜ」と読む理由もわかります。
まだ冬の季節風が目立ちますが、これからは「春一番」のような「東風(はるかぜ)」が吹くようになるでしょう。そうすると暦通り春の訪れを実感できるようになります。ただ健康を害するような外気を風・熱・湿潤・寒・乾燥に分けた「五悪」によると、春は「風」が体に良くないようです。東風の当たりすぎには十分ご注意ください。

執筆者:西