天なびコラム

第6434話

2018年06月09日

人それぞれの気候

6月9日は音楽のロックか鍵のロックか。
私はやはり前者の方で、普段聴く音楽も専ら邦楽ロックです。

私の大好きなバンドマンの1人が先日、ファンからの質問に答えるインタビュー記事に登場し、このような質問を受けていました。
「太陽や月・風は歌詞に何度も登場していますが、雪の歌はありません。やはり馴染みがないものだからでしょうか?」
このバンドメンバーは全員生まれも育ちも東京で、これまでにも東京のことを歌った曲や地元を想うような発言が多々ありました。
今回の質問にも、「年3回ぐらいは降っていましたが、確かに雪の思い出ってあまりないですね。」「チャレンジしてみたいですけどね。」という回答でした。

雪とは無縁で育ってきたアーティストが雪のラブソングを歌うことだって当然ありますし、中には名曲もあります。
このバンドの場合は、自分が見てきた風景を切り取って歌詞にすることが多く、だからこそ良い意味で現実感剥き出しな歌詞が魅力で、そんな曲を長きに渡って生み出し続けています。
太陽や月が何回出てこようとも、曲によって見る角度が異なっており、聴いていてもマンネリとは全然感じません。
そのせいか、私もファンの1人であるはずなのに、雪の歌がないことに気付かず「あぁなるほどそういえばないなぁ」と質問者に感心してしまいました。

かくいう私も、雪との縁は多くありません。
横浜で生まれ育ち、長期休みに宮崎へ移動が小さい頃からのデフォルトで、雪の多い地域では一般的な「パウダースノー」には恥ずかしながら出くわしたことがまだありません。
逆に、南国のようなギラギラ輝く太陽やヒートアイランド現象による都会の猛暑、湿気の多い重たい雪など、関東や宮崎特有の気候は幾度となく経験してきました。
都会の猛暑なんかは厄介者ではありますが、都会ならではの現象ですし、この蒸し暑さを知らない人も大勢いるのかもしれません。

小さな国土の中に様々な気候が詰まっている日本は、少し場所を移動するだけで環境が大きく変わります。
国が違えば気候が違うのはそりゃそうだとなりますが、同じ日本育ちでも各個人で育ってきた気候がまるで違うのも、何だか面白いなぁと思います。
人それぞれの気候がある、といった所でしょうか。
このバンドも、もし他の地域で生まれ育っていたら、全然違う曲が生まれていたのだろうと考えると、聴いてみたいような勿体ないような。

地元があるって良いものですね。


執筆者:そふぃー