天なびコラム

第6436話

2018年06月11日

梅雨入りがなかった年

6月も中旬。先週は梅雨入り発表が続きました。昨年は空梅雨だったところもありましたが、今年はどうでしょうか。
ところで1963(昭和38)年は近畿地方と四国地方で梅雨入り発表がありませんでした。昨年の東北のように梅雨明け発表がなかったことは珍しくありませんが、梅雨入りがなかったのは後にも先にもこの年の2つの地方のみです。なぜ発表がなかったのか気象庁に問い合わせてみると「ずいぶん前のことなので正確にはわからないが、おそらく「梅雨の走り」と「梅雨」の区別がつかなかったのだろう」とのことでした。
梅雨入り前も「走り梅雨」といって雨の日が続くことがありますが、通常はそのあとに清々しい晴天が数日間現れます。その後に雨が続くと本格的な梅雨になります。
この年の天気図を見てみると4月末には本州付近を東西に前線がのびており、梅雨の走りらしい天気になっています。ここまでは珍しくないのですが、大阪の過去のデータを見ると5月は25日間も降水が観測されており、丸一日晴れていた日がほぼありません。そして6月になると例年通り梅雨らしい天気になりました。なるほど、これでは本格的な梅雨入りの特定が難しいこともわかります。
このような事情ですので梅雨入り発表がなくても梅雨がなかったわけではありません。事実、この年の近畿と四国地方では「梅雨明け」は発表されています。
さて、今年は例年通り梅雨入りが発表される模様。気象庁は雨に対する注意を喚起することを目的に発表していますので、災害に遭わないように備えておきましょう。

執筆者:西