天なびコラム

第6668話

2019年01月29日

難しい低気圧

この時期になると、南岸低気圧という言葉が世間を賑わすことがしばしばあります。
日本の南岸を通過し、首都圏で降雪・積雪をもたらす可能性のあるアレです。
微妙な進路のずれによって、雪予報が雨に変わったり、はたまた大雪になったりと、予報するのも難しい現象です。
今シーズンの首都圏での積雪はまだありませんが、昨シーズンはこの低気圧によって東京でも20cmを超える積雪がありました。

何年か前の学生だった頃、前日まで東京は雨か雪だろうぐらいに報じられていた中、しっかりめに雪が降って首都圏全体が混乱した時がありました。
電車が急遽運休になったり、車が動けなくなったりと、主に交通網がパニックになっていました。
そこから1〜2週間後、再び南岸低気圧接近の予報が出始めると、東京でまた雪が降るぞと早い段階で大々的にワイドショーで騒がれるようになっていました。
すると、鉄道会社は雪予報当日の運行本数を減らすと事前にアナウンスし、テレビではスタッドレスタイヤやチェーン装着を盛んに呼び掛けるようになりました。
しかし蓋を開けると、都心では積もるどころか降水自体が少ないまま低気圧は過ぎていきました。

その数日後に、大学の最寄り駅でうっかり聞いてしまった女性の会話が、「降らないと言われたら降って、降ると言われたら降らなかった」「(今度から予報の)逆だと思えばいい」というもの。
気象の勉強真っ最中で、関東の雪予報の難しさを知っていた自分としては、この何気ない会話が妙に刺さりました。

予報モデルの精度は向上しているとはいえ、南岸低気圧に関しては今でも予報が難しいことに変わりありません。
今後も南岸低気圧が接近して都心部を麻痺させてしまう可能性は大いにあります。
外れることもあるしどうせ降らないんだろと甘く見るのは危険です。

そんな南岸低気圧には天気図のチェックが有効です。
中心が八丈島付近を通ると関東で雪の可能性が高いといわれています。
関東の雪が気になったら、意識的に確認してみて下さい。


執筆者:そふぃー