天なびコラム

第6670話

2019年01月31日

花の兄

今年も始まってはや一ヶ月。まもなく暦の上で春を迎えますが、今日は広い範囲で冬らしい鈍色の空に覆われそうです。
ところでこの時期に散歩に出かけると常緑の木か冬木立が目立ちますが、そんな中でピンクの花をぽつりぽつりと付けた木を見つけることがあります。そう、梅です。
桜と同じように梅も前年に花芽が作られて休眠し、冬の寒さを経験すると目が覚めます。そして少し暖かくなると開花します。桜と違うところは「眠りが浅い」ところ。桜に比べて梅は低温の日が短くても目覚めてしまいます。そのため開花時期が桜より早くなるわけです。
このように梅は早起きなため「花の兄」とも言われています。もちろんツバキなど冬に咲く花もありますが、春の訪れを知らせる使者としては梅が「兄」と言っても良いでしょう。
気象庁の生物気象観測によると東京や名古屋、大阪、福岡では梅の開花がすでに観測されています。他の地域でも来月になれば続々と目覚めるでしょう。弟分の桜はまだ夢の中のようですが、まず寒い中でも咲き誇る兄貴分を楽しみたいと思います。

執筆者:西