天なびコラム

第6678話

2019年02月08日

天気予報と望遠鏡

子供の頃は天気よりむしろ星が好きで、天体観測に関する本をよく読んでいました。それらの本の中にはしばしば「天体望遠鏡の選び方」という章があり、決まって書かれてあったのは「倍率の高さで選んではいけません」というものでした。

高倍率の方がよく見えると考えてしまいがちなのですが、星の光は弱いので、むやみに拡大しても薄くぼやけてしまうのです。それにもかかわらず倍率が高いことをアピールするようなメーカーは信頼しないほうがよい、とまで書いていた本もあったように記憶しています。

一方、現在の天気予報の世界では「解像度の高さ(メッシュの細かさ)」が競い合われています。局所的な豪雨により災害がもたらされる昨今、解像度の高い予測が求められているのは確かでしょう。ただ、天気予報と解像度の関係は、先ほどの望遠鏡と倍率の関係によく似ています。ごく短時間の予測を除けば、むやみに解像度を上げたところで、モザイク写真を虫眼鏡で拡大するような結果になってしまいます。

しかし、私がそのように主張したところで、自社に都合のよい理屈だったり、市場ニーズを満たせない言い訳のように聞こえてしまうのが歯痒いところです。天気予報を比較する際の、解像度に代わる指標を早く見つけ出せないものかと思います。


執筆者:ヒョウタン