天なびコラム

第6684話

2019年02月14日

『絶景!雪の金閣寺』とその裏側

大阪に引っ越してきて、この冬叶えたいと思っていたこと。それは、年に数回しか見ることのできない「雪の金閣寺」を見ることです。

先月の寒波で京都に積雪があり、そのチャンスが訪れたので、カメラをぶら下げて写真に収めてきました。

事前に、ライブカメラやTwitterなどで雪が積もっているという確信的な情報を得て、期待値を上げて向かったのですが、生で見る雪化粧の金閣寺はそれを上回る絶景です。金色に輝く金閣寺と、一面に降り積もった真っ白な雪との見事なコントラストは格別で、太陽の光が差し込むと、それぞれが反射して綺羅びやかに光を放ち、息を呑むほどの光景を見せてくれました。

しかし、皆考えることは同じで、金閣寺の境内はその絶景を一目見ようと訪れた人々で大混雑です。金閣寺が正面から見られるポイントでは、人が石垣のように密集していて、押し合いへし合い、良い写真を撮ろうと必死です。最前列は、本格的なカメラを持った写真愛好家の人たちが陣取っていました。写真にこだわりのある人達は、設定やアングルを変えて複数枚撮影をするので、どうしても時間がかかってしまいます。

私も、写真が趣味で良いポジションで撮ろうと意気込んで来たので、その場所が空くまでおとなしくじっと待っていました。しかし、その後ろにはスマホを片手に、少し苛立ちながら待つ、家族連れやカップルも列を成しています。

「俺らは、1枚写真を撮れたら満足なのに…」
「私たちは(写真を撮るのは)一瞬で終わるのに…」
「いったい何枚撮るんだ…」

そんな声も聞こえてきます。

まあ、確かにそう思うのも無理はないと感じつつ、写真を趣味として楽しむ私の立場としては、写真愛好家の人達の気持ちも分かります。

「俺らは、他の人よりも早く来て、他の人よりも長い時間待って、ようやくそのポジションを確保したのだから、悔いのない満足のいく写真を撮りたい。」

そう思っているでしょう。

アクセスの悪い、知る人ぞ知る絶景の秘境スポットのような場所だと、そこに集まるのは、いわゆる“写真ガチ勢”のような人達にある程度絞られるので、落ち着いてゆっくり撮影を楽しめたりします。

しかし、金閣寺のようなメジャースポットの場合、スマホでパシャッと1枚だけ記念写真を撮りたい人達から、ゴツい本格的な一眼レフを構えて、構図やライティングを試行錯誤しながら、設定を変えて複数枚撮影したい人達までが一箇所に集中するので、なかなか大変です。

金閣寺を撮りたいという思いは同じでも、求めているものが違うので、同じルールで縛るのも限界があります。混雑が予想される場合は、事前に区画を区切るなど、うまく調整したほうが良いのではないかなと、そう感じました。

ちなみに、私はその後もおとなしく順番を待って、最前列を確保した後、後ろの列に気を配りながら、複数枚撮影してその場を後にしました。


執筆者:ドローン