天なびコラム

第6700話

2019年03月02日

モールス符号

前回、「本日は晴天なり」は無線テストの決まり文句であることを書きましたが、アマチュア無線3級以上の試験では「モールス符号」が出題されます。モールス符号は19世紀に考案された短点(・)と長点(ー)からなる通信コードで、例えば欧文だと「A(・ー)」「B(ー・・・)」などと定められています。
因みに「本日は晴天なり」は何故か「VVV(・・・ー・・・ー・・・ー)」と表現します。

この響き、どこか聴き覚えがあると思ったら、アニメ映画「天空の城ラピュタ」の冒頭で、ドーラ一家の襲撃を受けたムスカ大佐が、スパイダーループの無線機を取り出して、打鍵しているのと同じでした。救援要請を出しているのかと思いきや、実は「晴天なり」を連打していたんですね。非常時にも試験電波を怠らない、さすが32歳(初期設定では28歳)で大佐まで昇進しただけある…(!?)。

天空の城ラピュタでは、冒頭のシーン以外にもモールス通信が登場しますし、その他、紅の豚や崖の上のポニョなど、ジブリアニメでは意外と多くモールス通信が使われています。解読できるとなかなか楽しいですよ。

モールス符号でよく知られているのは、遭難信号(救援要請)の「SOS(・・・ーーー・・・)」ですが、通信媒体は電気信号に限らず、身近な光や音、例えば懐中電灯や狼煙(のろし)やホイッスルなど、長短区切って信号にできるものであれば何でもOKです。アメリカ映画「スペースキャンプ」でも、宇宙空間に放り出された子ども達が、スペースシャトルのスイッチをON/OFFさせて、地上管制と交信していたのが印象的でした。

デジタル通信全盛の現在ですが、災害時などイザというときの通信手段として、幾つかのモールス符号は覚えておいて損はないですよ。

執筆者:風来坊