天なびコラム

第7113話

2020年04月18日

相対的な空の旅

初めてコラムを担当させていただきます、ありんこと申します。
なかなか外出しづらい昨今、皆様いかがお過ごしでしょうか。
長時間家に閉じこもっている場合、ウイルス保有者がいなくても、湿気やハウスダストや二酸化炭素を排出するために、定期的な換気は必要です。
換気を効果的にするためには、換気扇だけでなく窓を開けるのが良く、窓を開けると空が見えます。

私が気象予報士だからでしょうか、空はいつ見ても興味深い現象を見せてくれると思います。
私たちが家にいて窓から空を眺めるだけでも、上空では相変わらず風は吹いていて、気圧配置は刻一刻と変わっています。
特に最近は、移動性高気圧の影響で周期的な動きを見せてくれています。
そんな下で空を眺めてみるとどうでしょう。
温暖前線に伴う、だんだん厚く低くなっていく層状の雲。低気圧中心付近のしっかりとした雨。
寒冷前線通過と寒気移流。その後、高気圧による春の陽気。
私たちは動かず、同じ窓からでも、気圧配置のいろんな場所の空の様子を見ることができます。
これは、相対的に空を旅していると言えるのではないかと私は思います。
地に足をつけながら、いつも空のどこかを旅している。
そんな不思議な感覚が好きで、私は今日も窓から空を眺めるのかもしれません。


執筆者:ありんこ