天なびコラム

第7121話

2020年04月26日

「夕焼けは羊飼いの喜び」の諺

毎朝、私は川沿いを走ります。
すごく綺麗な朝焼けがしばしば見えますが、見とれてしまい時々つまずいてしまいます。
この時、ヨーロッパで有名な気象についてのことわざ「Red sky in morning, shepherd's warning.(朝焼けは羊飼いへの警報)」が思い浮かびました。
朝焼けが綺麗だとその日は悪い天気になる、という意味です。
しかし、この日は一日明るく晴れていたので、このことわざについて疑問に思いました。
このことわざは真実なのでしょうか?誰のせいで有名になったのでしょうか?

このことわざには気象的な意味が込められています。
赤い空の原因は高気圧下にあるとき、低い角度で入射した太陽の光が大気中のチリやエアロゾルにぶつかり、あちこちに赤い光が散乱して空を照らします。
そして、太陽は東から昇り西へ沈みますが、主に高気圧は西から東へ進みます。東の空に雲がない時に見える朝焼けは、すでに高気圧が通過していることを意味します。
もし低気圧と高気圧が交互に通過するなら、次に低気圧が来て悪天候になるかもしれません。

このことわざには歴史的な記録もあります。新約聖書「マタイによる福音書」で、初めてイエス・キリストがこのことわざを言いました。
「 When it is evening, ye say, fair weather: for the heaven is red. And in the morning, foul weather today for the heaven is red and lowering.」
(夕方には「夕焼けだから晴れだ」と言い、朝には「朝焼けで雲が低いから今日は嵐だ」と言う。)

この古い時代には、朝焼けの原理は知られていなかったかもしれませんが、現在もこのことわざに関する統計的な研究は見つかっていません。
また、赤道付近の地域では、高気圧や低気圧は東から西に進むこともあるため、上記の説明が成り立ちません。

高気圧と低気圧は晴天や悪天をもたらしますが、綺麗な赤い空が見えるのであれば、私はどんな天気でもいいです。
皆さんもいっぱい空の写真を撮ってくださいね。


執筆者:英雲