天なびコラム

第7141話

2020年05月16日

お楽しみコレクション

在宅勤務が日々続いており、通勤、帰宅、愛犬の散歩、夕食、お風呂、就寝のようなルーティンがなくなりました。
普段見逃していたささやかな楽しみを見つけることができ、おうち時間を充実したものにしてくれています。

気付かないうちにベランダのミニトマトが小さな実を結んでいた喜び、本棚の一度も開いていない本を読む安らぎ、白黒の鍵盤を動かし曲を弾く楽しみ、あと、足元で寝息を立てながらいきなりピクピクと動き出す愛犬です。
どのような夢を見ているのでしょうか。

外出の回数が減り、最近は窓越しで飛行機雲を眺めることが楽しくなってきました。
地上から約1万mの上空へ摂氏300度から600度になるジェットエンジンの排気ガスを放出すると、ガス中の水分が急速に冷やされ、氷の粒となり、あのような形の雲が形づくられます。
エンジンの数によりできる本数も変わるようで、恐らくこの地域の上空を通ったのは国内線のみでしょう。

また、飛行機雲が発生する二つの必要条件は低温と高い湿度です。
飛行機雲がすぐに消える場合は、上空の湿度が低いと考えられ晴れが続き、雲がなかなか消えない場合は、翌日に曇や雨が降るという見方もあるでしょう。

さらに、調べてみたら、飛行機雲の中でも、なかなかお目にかかれない逆パターンの「消滅飛行機雲」もあります。
雲が薄く広がる中を飛行機が通ると、雲が筋状になくなっていき、青空の線が浮かび上がる雲のことです。
これはエンジンからの排気ガスの高温により、雲が蒸発してしまうことにあります。
なお、雲の高度と飛行機の飛行高度が一致しないと見られないようです。

引き続き日常のささやかなお楽しみをコレクションしつつ、いつかこの珍しい現象に出会えるのを期待してまいります。


執筆者:レインボー