天なびコラム

第7167話

2020年06月11日

暦の精度

6月11日は、雑節のうちの一つ「入梅」になることが多いことから、日本洋傘振興協議会が「傘の日」と定めています。
雑節とは、二十四節気よりも細かく季節を表現するために付け加えられたもので、八十八夜や半夏生なども雑節です。
雑節も二十四節気と同じく、太陽黄経(地球が春分点から太陽の周りを回った角度)のみによって決められていて、「入梅」は太陽黄経が80°の時と決められています。
実際の梅雨入りと合っているのかというと、気象庁のサイトで梅雨入りの平年日を調べてみますと、中国・近畿では8日ごろ、東海・関東甲信では9日ごろ、11日に近いところでは北陸と東北南部が12日ごろです。
太陽黄経だけから決める暦としてはかなり精度が高いと言えます。
二十四節気には、3月上旬に啓蟄(虫が出てくる)や10月下旬に霜降(霜が降りる)など、日本の気候とずれていると感じるものがいくつかありますが、「入梅」はなぜこんなに精度が高いのでしょうか。
それは、暦の作られた場所が違うからです。
二十四節気は中国の黄河流域で作られた暦ですが、雑節はそれよりも細かく日本の気候に合うように日本で付け加えられたものだからです。

暦はあくまで長い目で見たもので、毎年その通りになるとは限りません。
ですが天気予報を見ると「入梅」、「傘の日」と言われる通り、私の住む大阪付近ではこれから傘が活躍する時期になりそうです。


執筆者:ありんこ