天なびコラム

第7209話

2020年07月23日

シーパワー

皆様ご存じの通り、今年の海の日は少し特別です。
多事多難の一年であるかもしれませんが、この一度だけの海の日に、来年の東京オリンピックが無事開催されるようお祈りいたします。

海の日は1996年から施行された比較的新しい国民の祝日です。国土交通省によると、「世界の国々の中で『海の日』を国民の祝日としている国は唯一日本だけ」のようです。祝日化される前の海の記念日は、1876年に明治天皇が東北地方をご巡幸の帰途、従来の軍艦ではなく、灯台視察船「明治丸」で航海し、7月20日に横浜御用邸にご安着された史実に由来しています。

その後、昭和の貿易を切り拓いた大臣で、日本国際貿易促進協会初代会長である村田省蔵により提唱され、船舶や貿易関連の海事関係団体の努力とともに、ようやく1996年に祝日となりました。さらに、2003年に改正された祝日法のハッピーマンデー制度により、制定当初の7月20日から、7月の第3月曜日に変更されました。

この祝日の目的は、「海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う」という趣旨である、と祝日法に記載されています。地政学では、海洋国家とは単純に海に囲まれた国のことではなく、海に面して安全保障や貿易通商を通じて、平和と繁栄を維持している国家のことも意味しています。
大航海時代以降、ポルトガル、スペイン、オランダ、イギリス等の海洋国家の成長が飛躍的であることから、シーパワーと切り離すことはできないでしょう。

最後に、海の恩恵に感謝の気持ちを抱えながら、海洋についての理解と関心を日々深めていきましょう。


執筆者:レインボー