天なびコラム

第7223話

2020年08月06日

夏の虫

梅雨明けの晴れた日の昼下がり、久しぶりに公園を散歩していると周囲の音が聞こえない程のクマゼミやアブラゼミの合唱に耳を痛めた。小さな昆虫であるにもかかわらず、大きな鳴き声を発する姿に生命力が感ぜられた。幼い頃はよくセミを採取していたのを思い出し懐かしく思った。ふと草むらへ目を落とすと、青く光る尾を持つニホントカゲの子どもを発見した。光の加減で虹色に変化する尾は天敵から身を守るためと言われているが、自然の神秘に魅了される。

夕暮れ時になると、遠くからヒグラシの鳴く声か聞こえてきた。とても風情のある鳴き声で、夏の暑さを忘れさせられた。ヒグラシとともに、足元を素早く駆け巡るオケラを発見し捕まえて観察した。オケラの特徴とも言えるモグラのような前脚はどこか愛嬌がある。地中に潜るために発達したと考えられているが、泳ぐこともできるようである。

夏真っ盛りに自然豊かな公園を散策すると様々な生物に出会う。夏の虫を探しに散策するのはいかがでしょう。




執筆者:阿波狸