天なびコラム

第7231話

2020年08月14日

豪雨と干ばつ

みなさま、こんにちは。みっちーです。

前回のコラムでは、気候変動による集中豪雨の増加について少し触れました。

気候変動について話をするとき「これからは集中豪雨と干ばつが両方増えると予想されています。」と説明すると「雨が増えるのか減るのか、どちらなのですか?矛盾しているように聞こえます。」といった反応をいただく事があります。今回は、この矛盾しているように聞こえる現象が生じるメカニズムの一つを説明したいと思います。

気候変動によって世界の平均気温が上昇すると、大気中の水蒸気量も上がりますが、同時により多くの水蒸気が空気中に存在できるようになります。(飽和水蒸気量が上昇する、と言います。)

以前よりもたくさんの水分を空気中に蓄えることができるようになってしまったので、雲ができて雨が降る頻度が減ってしまい、干ばつが発生しやすくなります。以前であれば雨として地表に降り注いでいただ水分は、以前よりも長い期間、空気中に蓄えられてることになります。

この「以前よりもたっぷり水分を含んだ空気」が、上空のとても冷たい空気に晒されたタイミングで一気に雨雲になり、短期間に豪雨が降る、ということになります。

気候変動に関する世界的な研究者たちの集まりであるIPCCのレポートでは、今後の気温変化の予測に比べて水蒸気や雲の挙動を予測するのは難しく、「どの地域でどの程度の豪雨・干ばつが発生するのか」の予測には限界があるとしていますが、全般的な傾向として、降雨のパターンは「短期間での豪雨と干ばつが増加していくだろう」としています。

私たちは今後、長期的にこのような降雨パターンの変化に対して対策を実施していく必要があるのかもしれません。


執筆者:みっちー