天なびコラム

第7272話

2020年09月24日

雲に映る地図

秋らしい巻積雲や高積雲などの雲が出る季節になってきました。
これらの雲は、広い範囲にわたるゆっくりとした上昇気流によるもので、地上から見える範囲では雲の高さがほぼ同じの平べったい雲です。
上空数キロメートルのところにある平らな天井のようなものと思うと、面白いものが見えてきます。
夜に巻積雲や高積雲が出ているときに目を凝らしてみましょう。うっすらとですが、真下の街の明るさに対応して、雲の底面が明るく照らされている部分と暗い部分があるのがわかると思います。
街の明かりは雲に届くまでに拡散してぼんやりとしかわかりませんが、ある程度の市街地の位置関係はわかります。
あるいは、明るい市街地の位置をよく知っていれば、雲の明るい部分の仰角から雲の高さがだいたいわかると思います。

「雲に映る地図」と大層なタイトルを付けましたが、 限られた気象条件のときだけ、しかも明るい街がぼんやりとわかるだけという、あまり役に立たなさそうな地図です。
でも、街の明かりがすべて映し込まれていて、真下の街に思いを馳せるとちょっとほっこりするかもしれない地図です。


執筆者:ありんこ