天なびコラム

第7307話

2020年10月29日

秋はいつからいつまで?

近年、SNSを見ていると、秋が短くなったとか、夏が終わったらすぐ冬が来るといった声を散見します。
気候変動によって実際に秋と言える期間が短くなったのでしょうか。
それとも、メディアの発達によって、寒い地域のこともいち早くよりリアルに伝えられることによって冬が早めに来ていると感じるだけでしょうか。
過去のデータを検索して調べてみようと思ったのですが、梅雨とは違い、春夏秋冬には始まりと終わりは気象学的には特に決められていないので何とも言えません。

「何とも言えない」だけでは身も蓋もないので、個人的な見解を書きますと、季節の認識は、虹の色と同じように文化的に決められているものではないかと思います。
虹の色は日本では赤、橙、黄、緑、青、藍、紫の7色ですが、英語圏では藍色を抜いた6色、アフリカのアル部族では黄緑を入れた8色、パプアニューギニアのダニ族では寒色、暖色の2色と認識されています。
季節を春夏秋冬の四季で言うのは、世界的に見ればどちらかというと少数派で、乾季、雨季の2種類で言う地域のほうがたくさんあります。
虹の例はあくまでたとえですが、日本人でも目を凝らせば虹の中に黄緑を認識することができるでしょう。それと同様に、乾季と雨季や、寒候期と暖候期だけでない“秋”も、感覚を研ぎ澄ませればもっと長く豊かに感じ取ることができると思います。
秋が短く感じられるのは、どちらかというと、気候の変化ではなく文化の変化によるものではないかと思います。


執筆者:ありんこ