天なびコラム

第7308話

2020年10月30日

蜘蛛の雨?

明日はハロウィンですね。
今回はハロウィンにまつわる生き物の気象現象について語ろうと思います。
これまでに、雨のように空から驚くほど蜘蛛が降ってくる現象が観測されています。
一番有名な観測はビーグル号による航海においてチャールズ・ダーウィンによって行われたもので、海上で風の穏やかな日に、数百匹の生きている蜘蛛が船の上に着陸しました。
空から蜘蛛が降ってくるなんて怖いですね。

蜘蛛には「バルーニング」という現象が見られます。
これは、蜘蛛がお尻から出した糸を使って空に舞い上がる現象です。
秋と春になると若い蜘蛛はこの現象によって移動するため、蜘蛛が空から降ってくる可能性がありますが、雨のような量が降るのはとても珍しいです。

また、この現象について新たな事実が明らかになってきました。
これまでのバルーニングに関する研究では、蜘蛛は飛ぶ前に風の状態を確認し、タイミングを見計らって飛び立つと考えられていました。
しかし、最近の研究によると、無風でも飛ぶ姿が確認されており、風力だけでなく大気電気を利用していることがわかっています。
地球には地上から電離層までの間に、晴天時に電位勾配が存在します。
鋭い木の枝などの付近ではこの電位勾配が強くなるため、蜘蛛が木の枝の縁で糸を出すと静電気が生み出され、蜘蛛を飛行させる十分な力となります。
ただし、残念ながら蜘蛛には翼がないので、空を飛んでも方向を自由に変えることはできません。
どこにたどり着くかは運次第ということですね。

執筆者:英雲