天なびコラム

第7322話

2020年11月13日

季節をどう感じるか

先日、気象庁が今までおこなってきた生物季節観測のうちの9割を今年でやめるというニュースを見ました。
生物季節観測とは、桜の開花やウグイスの初鳴、ホタルの初見など、生物が知らせてくれる季節の変化を観測しているものです。
気象庁によると「近年は気象台・測候所周辺の生物の生態環境が変化」したために継続が難しくなったそうです。
今まで植物34種目、動物23種目を観測していましたが、来年の1月から、あじさいの開花、いちょうの黄葉・落葉、うめの開花、かえでの紅葉・落葉、さくらの開花・満開、すすきの開花の6種9現象だけになります。
このことについては賛否両論あるかと思いますが、個人的に思うことを書きますと、季節の感じ方について改めて考えさせられるなと思います。

まず、今まで観測されていた植物34種目、動物23種目をすべてご存じでしょうか。
私はこの際調べてみて、くわの発芽・落葉など、そんなものも観測していたのかと初めて知ったものがいくつかあります。
地域によってはほとんど見かけないものもありますが、探そうと思えば探せるものが多いのではないでしょうか。
ちょうど私が前回(10/29)のコラムで書いた、「感覚を研ぎ澄ませばより豊かに季節を感じられる」といったことを改めて考えさせてくれるリストです。

また、単に廃止ではなく、気象庁によると「廃止する種目・現象を含む観測方法を定めた指針を気象庁ホームページで公開する予定」とのこと。
つまり、これから生物季節観測は、やりたい人がやっていくことになると思います。
そう思うと、今回のニュースは、季節をより良く感じてもらうための気象庁からの素敵な提案のようにも思えます。


執筆者:ありんこ