天なびコラム

第7340話

2020年12月01日

空気が澄む

12月になりました。
落葉樹の葉はほぼ落ちきって、空が少し広くなったように感じます。
また、冬というと最も天体観測に適した季節とされています。
気温が低いと空気中に含まれる水蒸気量も減るので、光の散乱が少なくなり、空気が澄んで見えるからです。

最近は、木星、土星、火星が夕方の空に並んでいて、しかも今日は月齢16なので、日没後もしばらく黄道がわかりやすい良い配置になっています。(惑星や月はぴったり黄道上ではありませんが、ここでの話ではだいたい一致すると考えて構いません。)
冬至に近い今頃は、日が落ちる位置は真西よりも20度くらい南寄りなのですが、そのまま木星、土星、火星、月と黄道をたどっていって東の水平線まで延長すると、黄道は真東よりも北寄りに行き当たります。
地球の自転軸は公転面に垂直よりも23.4度傾いていて、冬至に近い時、昼間の北半球は地軸とともに北に向くので太陽を浴びる量が減ります。
逆に、夜の北半球は南を向くので満月は高く見えます。
その間の夕方はどう見えるかというと、太陽は真西より南寄りに沈んで、満月は真東より北寄りから昇ってきます。その間の黄道がもし見えるとしたら、南の空を斜めに横切る線になるのですが、今の時期は運よく日没後もしばらく黄道がわかりやすい惑星配置なので肉眼で見てわかるのです。
知識では知っていたものの、こうして肉眼ではっきりわかると面白いです。

もうすぐ来る冬至と、澄んだ空気に映える星空、見上げれば宇宙の中での地球の動きを感じられる良い季節だと思います。


執筆者:ありんこ