天なびコラム

第7342話

2020年12月03日

蒸気霧

広葉樹は落葉し始め昆虫の姿も見えなくなり、周りの景色も寂しくなってきた。日が過ぎる毎に気温低下を感じて、冬の訪れを実感する。

数日前のよく晴れた早朝に窓の外を眺めると、田んぼから白い煙が立ち上っていた。何かを燃やしているのかと思ったが、太陽の日射であたためられた田土の表面から放出された水蒸気が凝結して、煙のように白く見えていたのであった。近くで観察すると、空気はとても冷えていたが田土の表面付近はあたたかく、太陽の熱エネルギーを肌で感じた。水蒸気は地表から数cmの高さより凝結して湯気と化していた。このように発生する霧を気象学的には蒸気霧と呼ぶ。蒸気霧は田んぼに限らず湖や池などでも見られ、水面付近で見られる霧はとても幻想的である。

蒸気霧が発生している様子を眺めていると、日常の時間を忘れてしまいそうだ。




執筆者:阿波狸