天なびコラム

第7349話

2020年12月10日

期間限定の注意報

12月も上旬が終わろうとしていますが、今日の天気図を見ると移動性高気圧が日本を覆っています。本格的な冬の到来は来週に入ってからのようです。
高気圧に広く覆われると日中は過ごしやすいことが多いですが、朝晩はグッと冷え込みます。平年より気温が高いと言っても12月です。朝は冷え込みによって霜が降りることも珍しくありません。今朝も内陸部を中心に冷え込みそうですが、「霜注意報」が発表されているところは見当たらないかもしれません。というのもこの注意報は一部の地域を除いて「期間限定」だからです。
注意報は「災害が起こるおそれがある旨を注意して行う予報」と定義されています。霜によって発生する災害は「農作物への被害」になります。気温が4℃以下になると霜が発生してもおかしくないとされていますが、冬はそのくらいの気温まで下がるのは普通のことです。当然、農家の方も対策はされています。だから冬に霜が降りても被害が出ません。つまり「災害が起こるおそれ」がないため現象が起こっても注意報が発表されないわけです。例外なのは種子島や屋久島より南の地域。これらの地域では冬でも霜が降りることが少ないので対策をしていないことが多いです。そんな場所では冬に霜が発生すると被害が出るので通年で霜注意報が発表されます。
なお、この発表期間は気象庁が自治体などと話し合いながら決めています。たとえば暖冬で農作物の生育が早い場合は発表する時期を早めることもあります。
3月頃まで「霜注意報」を目にかけることはほとんどありませんが、霜自体が起こらないわけではありません。自宅で農作物や植物を栽培されている方はご注意ください。

執筆者:西