天なびコラム

第7361話

2020年12月22日

飛行機内の気圧

飛行機の機内では気圧を地上の水準に合わせるために与圧されています。これはおそらく多くの方がご存じだと思いますので説明を割愛しますが、では具体的に何hPaまで与圧されているのでしょうか?
先日同僚と飛行機に乗った際、CAの方に機内の気圧を尋ねたところ、わからないと言われていました。
私の友人のパイロットに同じ質問をしたところ、機内に気圧計がないのでわからないとのことでした。
おそらく安全上機内の気圧は測っていると思いますが、コックピットから数値を見ることができない、もしくは何らかの理由で口外できないということだと思います。
そのため実際に機内に気圧計を持ち込み、計測してみました。
ただ気象観測で使用する気圧計は機内には持ち込めないため、簡単な(精度がそこまで高くない)気圧計を使用しました。
結論から言うと、運行機材や天候、ルート等によって気圧に差があることがわかりました。
運行機材別の傾向としては、国内線の主力機材であるBoeing737型機や国内線最大のBoeing777型機では高度1万メートル付近で気圧が約850〜900hPaでした。850hPaはおおよそ1500〜1600メートル付近の気圧に相当します。
一方で最新のBoeing787型機では高度1万メートル付近で気圧が約920〜980hPaでした。980hPaだと地上でも観測されるような値です。
Boeing787は機体に炭素繊維を用いているため従来型の機材より強く与圧できることが知られています。
実際に今回これを裏付ける結果となりました。
私自身の体感としても前述の777型機と787型機の両方で過去に9時間を超えるフライトを経験しましたが、到着した時の疲労感はやはり前者より後者のほうが少なかったと記憶しています。
また最新の飛行機は従来のものより湿度も高く、騒音も抑えられており、快適性が非常に向上しています。
多くの航空会社では事前に運行する機材を予約画面等で表示しています。「飛行機に乗ると耳が痛くなる」という方もぜひ最新機材に乗ってみてください。きっと飛行機の概念が変わると思います。

執筆者:くじらのお