天なびコラム

第7367話

2020年12月28日

浮寝鳥

今年も「数へ日」になりました。いかがお過ごしでしょうか。
ところで先日、川辺を歩いていると、ぷかぷかと川面に浮かぶ鳥の群れを見かけました。夏にも見かけることがありますが、この時期の鳥たちは丸々と膨らんでいて暖かそうにも見えます。何かと慌ただしい年末にのんびりと昼寝をしているように見える鳥の姿を見ると「うらやましいなぁ」と感じていました。
後日、「浮寝鳥(うきねどり)」と書かれた記事を見つけたので水辺の鳥を思い出しながら意味を調べてみると「冬の季語。落ち着きがなく、不安な様子。憂き寝と掛けることもある」と記載されていました。なるほど、「浮かぶ」のは自由でもありますが、「地に足がついていない」状態でもあります。
鳥が水面にいるのは敵から身を守る手段であって、本心は「陸で生活できる人間がうらやましいよ」と思っているかもしれません。そんな想像をしていると鳥たちに対して何だか申し訳ない気持ちになってしまいました。
今年もいろいろありましたが、お布団でしっかり眠れる幸せをかみしめながら新年を迎えようと思います。みなさま良いお年を。

執筆者:西