天なびコラム

第7878話

2022年05月23日

変わる防災情報

5月も下旬となり、本土でも梅雨入りが近づいてきました。
これから梅雨明けにかけて雨が多くなり、水害に注意が必要な時期となります。

そんな中、気象庁が発表する防災情報に変更があることをご存知でしょうか。
気象庁のホームページを見てみると、以下のようなことが書かれています。

・線状降水帯による大雨の半日程度前からの呼びかけ。
・キキクル(危険度分布)「黒」の新設と「うす紫」と「濃い紫」の統合。
・大雨特別警報(浸水害)の指標の改善。
・指定河川洪水予報の氾濫危険情報を予測でも発表。

どれも大事な情報ですが、今回は線状降水帯に関する情報について紹介したいと思います。

線状降水帯は、列状の発達した雨雲が、同じ場所を数時間にわたって通過または停滞することによって作られる、長さ50〜300km程度、幅20〜50km程度の強い降水をともなう雨域のことで、これまでにも多くの水害をもたらしてきました。
最近ではニュースなどで取り上げられることも増え、世間一般の認知度も上がってきているのではないでしょうか。

気象庁では昨年6月から線状降水帯に関する情報を発表していましたが、これまでは発生が確認された後に発表されるものでした。
それが今年6月1日からは、発生が予測される半日程度前から情報を発表することになります。
事前の発表となることによって、早めの避難につながることが期待されています。

一方で、発表されるエリアが広域であり(「関東甲信」、「九州北部」など)、予測を出しても発生しない「空振り」や、発生を予測できない「見逃し」も想定されるなど課題も多いです。
今後は線状降水帯の集中観測や予報モデルの開発を行い、発表エリアの細分化や予測精度の向上を目指すとのことです。

線状降水帯の情報は発展途上であり扱いも難しいですが、うまく活用され、少しでも減災につながってくれればと思います。


執筆者:クリプトメリア