天なびコラム

第7926話

2022年07月10日

山の季節

本日、富士山の静岡県側ルートが開山しました。
山梨県側は既に7月1日に開山しているため、これでどの登山口からも山頂に行けるようになります。
今年も山の季節がやってきましたね。

富士山は毎年開山期間が決められており、その期間は例年7月上旬〜9月上旬です。
「山開き」が行われる山は全国各地に存在していますが、公式に開山期間が定められている場所はほとんどありません。
このような例外的な決まりがある背景には、富士山の人気の高さと気候の厳しさがあります。

まず、富士山の登山者数は他の標高の高い山と比較してかなり多くなっています。
感染症が流行する2019年以前のデータですが、開山期間だけで20〜30万人の登山者数がいます。
開山期間は約2か月間なので1日につき平均3〜5千人もの登山者がいるということになります。

これだけの登山者を集める日本一の山ですが、気候は決して穏やかではありません。
まず気温ですが、山頂付近では8月でも平均気温の平年値が7度以下です。
開山期間を除いて雪がいつ降ってもおかしくないという気候なのです。
また、上空の風の影響を強く受けるのも独立峰である富士山の特徴です。
太平洋高気圧が優勢で穏やかになる真夏を除き、山頂付近の平均風速が10m/sを超える日が多くなります。
過去の富士山での遭難も強風が原因のものが多いようです。
このような過酷な環境の下でも多くの登山者の安全を確保するため、毎年開山期間が決まっているのです。

富士山に限らず、山の気候は普段暮らしている場所の気候とは大きく変わります。
感染症による制限が落ち着き久しぶりに高山へ登られる方もいるかもしれませんが、備えは万全にしましょう。


執筆者:ぴーる