天なびコラム

第7934話

2022年07月18日

クマゼミの大合唱

例年であれば、梅雨明けと同時にセミの大合唱が始まりますが、今年は梅雨明けが記録的に早かったため、梅雨が明けても「シーン」としていて、物足りなさを感じていましたが、大阪では例年通り、7月10日頃からセミが鳴き始め、ようやく夏本番を実感しています。

ところで、セミの分布には地域差があることがよく知られています。私は、広島出身で、埼玉を経て現在は大阪に住んでいますが、広島はアブラゼミとクマゼミ、埼玉はミンミンゼミとアブラゼミ、大阪はクマゼミの鳴き声が目立ちます。ある調査によると、大阪の中心部では特にクマゼミが多く、大阪市内の長居公園ではセミの9割以上がクマゼミだったそうです。

この調査では30年以上にわたってセミの発生量を推定しているのですが、1970年代まではアブラゼミが多かったものの、1980年代以降はクマゼミのほうが多くなり、以降もクマゼミの発生量が急激に増えているそうです。

この原因については、議論があり専門家の間でも結論は出ていないようですが、「温暖化やヒートアイランド現象により都市部の気温が上昇して、南方系のセミであるクマゼミが生存競争で有利になった。」「東京も気温は上昇しているが、大阪は東京に比べの緑地の面積が狭いためその影響が大きい。」などの指摘がされています。

ちなみに、クマゼミは南方系のセミなので暑さに強いと思われるかもしれませんが、気温が35℃前後になるとセミも熱中症のような症状になり、40℃を超えると亡くなってしまう個体もいるそうです。

温暖化やヒートアイランド現象がますます進み、日本の夏の風物詩である蝉の鳴き声が聞けない夏にはなってほしくないなと思います。


執筆者:ドローン