天なびコラム

第7950話

2022年08月03日

うなぎはいるか日記

昨年から小学時代の日記を断捨離中です。今年のコラムではこの古い日記を引用しようと思います。
当時の日記にはうなぎに関する記載がありました。『家に帰ったらいいニュース。「うなぎ獲りに行くで。」と張り切っているお父さん。うなぎ獲り用の浸け籠を持っている。ひょっとしたら明日の朝はうなぎが獲れているかも・・・』夏休みの良い思い出です。
ただ、実際に翌朝に獲れたかどうかは記憶が曖昧で、獲れなかったように思っているものの、祖父が家の縁側でうなぎを捌いて皆で食べた日があったことも覚えています。ひょっとしてうなぎが獲れなかったのを悲しんだ孫のために、生きたうなぎを漁師から買ってきたのか祖父が川へ入ってリベンジしたのかもしれません。
祖父が捌いたうなぎをすぐに七輪で焼き、ごはんに載せてうな重が出来上がりました。さぞ味は美味しかったことと想像されたと思いますが、味はとてもクセが強く、野性味あふれるエグミが後味として残り、食べきれずに残してしまいました。家庭ではうなぎの下処理が難しいのかもしれません。その代わり、うなぎの骨を焼いた「骨せんべい」はとてもカリカリで香ばしくて美味でした。
さて、先月の土用の丑の日。歳を重ねた私はというと、巷で話題のうなぎの蒲焼もどきの「蒲鉾」を買って食べました。前述のうな重と比べて大変食べやすく、粗い食感や皮の伸び具合も限りなくうなぎに近づけた努力が伝わる良い製品でした。気を付けて味わうとほんのり蒲鉾の後味が感じられるくらいの違いでした。来年は本物のうなぎを食べて比べようと思いますが、地元の川でうなぎを獲って食べることは今後一切ないだろうな(近年うなぎが地元の川にいると聞いたことがない)と思い、昔の貴重な体験を懐かしむ今日この頃です。


執筆者:けもの道担当