天なびコラム

第7959話

2022年08月12日

変わるキュウリ

明日から始まるお盆のお野菜、皆さん何を思い浮かべますか。
個人的には仏前に飾られるキュウリとナスです。
特にキュウリは夏祭りに一本漬けをかじったり、味噌をつけるだけで生でポリポリ食べたりと、小さい頃から夏の代名詞でした。
そんなキュウリですが、実は3,40年前まではもっと白い粉のついた野菜だったというのをテレビで見て初めて知りました。

この白い粉の正体は農薬…ではなく、ブルームと呼ばれる野菜や果物が自ら作り出す蝋の粉だそうです。
今でも新鮮なリンゴやブドウ、柿などの果物でよく見られ、実の乾燥を防ぐ効果があります。
ではなぜ今のキュウリには見られなくなったかというと、ブルームが農薬のように見える、色がくすんでいて見た目が悪い、といった理由で売れなくなっていったそうです。
粉がなく見た目の色もよいブルームレスなキュウリが市場を席捲するようになり、ブルームキュウリはある意味淘汰されてしまった、ということのようです。

しかしこのブルームつきのキュウリ、実は普段食べるキュウリよりも粉に守られている分、皮が柔らかくてみずみずしくておいしいというではありませんか。
一部の農家さんではブルームキュウリを育てているそうで、もし見かけたらぜひ買ってみたいなと、あれからスーパーでキュウリを見かける度に思っています。

私の地元では、お盆のときにお供えするキュウリは馬を模していて、迎え火を炊いたらその馬に乗ってご先祖様が私達のもとに駆け付けてくれる、と言われています。
もしかしたらご先祖様も供えられたキュウリを見て、「最近の馬は随分ツルツルだね〜」と時代を感じているかもしれませんね。


執筆者:シャチハタ