天なびコラム

第8350話

2023年09月07日

光と影と表と裏

この世界には相反する様々なモノが矛盾もなく隣同志で寄り添っています。晴と雨、高気圧と低気圧、乾燥と湿潤、暑さと寒さ。天気の世界だけでもたくさんあります。光に対しての影もそう。

皆さんにとって「良い天気」とはどのような天気を思い浮かべるでしょうか。やはり太陽の日差し降り注ぐ爽やかな青空を浮かべる人が多いでしょうか?
日頃から会話で使いそうなこの「良い天気」。実は気象庁をはじめ、天気予報の世界では使わない言葉です。なぜなら、人によって「良い」の解釈が異なり、誤解を招きやすいためです。

外出したい人にとっては「晴れ」が良い天気であることも多いと思いますが、日差しが苦手な人にとっては「曇」が良い天気かもしれません。日照り続きの農家さんにとっては「雨」こそが良い天気ということもあります。

光と影を思い浮かべると、どうしても光に前向きな印象を感じ、影に後ろ向きな印象を感じてしまうかもしれません。ですが、日差しあるからこその日陰であって、我々は寒さの中では日差しを追い求め、暑さの中では日陰を追い求めます。どちらにも前向きな意味があります。

自分という主観でこの世界と向き合うと、様々なモノが「好き嫌い」「合う合わない」「必要不要」に分かれます。ですが、自分にとって嫌いなモノでも、誰かにとっては好きなモノであることもあります。自分にとって不要なモノでも、誰かにとっては必要なモノであることもあります。

私は周囲の人達に対して自分の考えや価値観を押し付けていたことに、最近ようやく気づきました。良い天気の解釈が人によって違うように、大切にしていることも人それぞれ違います。
家族の間でも、スポーツでも職場でもそう。例え自分とは相反していても、様々な個性が集まって、関わる全ての人達がお互いの価値観を尊重して、皆で同じ方角を目指すことが出来れば、それほど楽しく力強いことはありません。

乗ってる車こそ違っても、私達は同じ道を走ってる。

ますます多様化が進む世界。何が表で何が裏ではなく、様々な価値観を持つ人達がお互いを認め合い、皆が充実した人生の道を歩めますように。

執筆者:そら