天なびコラム

第8351話

2023年09月08日

夕焼けの色

今の時期、帰宅時間帯がちょうど夕暮れ時と重なります。
いつも乗る電車は、途中で地下に入ってまた地上に出るルートであり、地下に入る前と地上に出た頃での空の明るさの違いが楽しめます。
最近開通した新しい路線で、しかもここ数年はコロナ禍でこの時間に電車に乗る機会が減っていたのもあり、何となく新鮮に感じていました。
夏場は地下に入る前も後も明るく、逆に季節が進むと常に真っ暗なので、違いを感じられるのはまさに今だけのお楽しみです。

先日電車から見た空は、辺りが青色〜紺色の中、高度の低い地平線に近い辺りは黄色に染まっていました。
夕焼け空が赤〜オレンジ〜黄色とグラデーションに見えることはありますが、赤とオレンジはどこ行った…?と言わんばかりの黄色一色でした。
黄色い空というと黄砂や煙霧によるものを指すこともあり、綺麗でない印象もあるかと思います。
ただ、この日の夕方は晴天で、黄砂の色とは違う澄んだ輝くような、まさに黄色い夕焼けでした。

黄色と青色は相反する色です。
この2色が並んだ時、彩度(色の鮮やかさ)が近いと喧嘩して見づらく感じやすいですが、彩度に差をつけたり明るさを調整したりすると、お互いを引き立てるインパクトある配色へと変わります。
この日の空は、ほんのり青い暗色と明るい黄色がグラデーションしており、まさにお互いを強調させるような空の色でした。

綺麗だなぁと車窓を見ている内に電車が地下に入り、地上に戻ってきた時には黄色はおろか闇に変わっていました。
地下に入ったことで、黄色い夕焼けが暗くなる過程を見られなかった残念さもありますが、その過程を飛ばしたことでビフォーアフターの迫力も感じます。
そろそろ帰宅時間帯が真っ暗になる時期も近付いてきていますが、今の内にまた違う色と出会えたらと思います。


執筆者:そふぃー