天なびコラム

第8399話

2023年10月26日

大山詣り

先日、町内会のレクレーションで大山詣りへ行ってきました。
私の住む町内では毎年の恒例行事らしいのですが、私は今回初めて参加しました。
神奈川県伊勢原市にある標高1,252mの大山は、その存在感から古代より信仰の対象となり、「大山詣り」として江戸時代にはお詣りを兼ねた観光旅行先として大人気だったそうです。
江戸の人々にとっては現代でいう、ハワイのような場所だったのかもしれません。

今回は私を含めた町内の15人で大山の中腹にある阿夫利神社を目指しました。
朝最寄り駅に集合し、新宿まで移動、小田急線ロマンスカーに乗り、1時間ほどで伊勢原駅に到着します。
車内では座席を回転させて、朝ご飯を食べながらワイワイお喋り。
ご近所同士なので、住んでいる町の情報や、ちょっとした噂話に花が咲きます。
伊勢原駅からバスに乗り、大山ケーブルカー近くの停留所からは歩きます。
道は舗装されてはいますが、急な坂道や階段が続き、息も絶え絶え。
ケーブルカーまでたどり着き、乗り込むと、先ほど登ってきた道の比にならないくらいの急勾配をスイスイと登っていきます。
文明の利器に感謝するとともに、もっと体力をつけようと反省するのでした。
阿夫利神社に到着すると雨が降り始めました。
せっかく来たのに残念だなあと思っていると、もう何度も参拝しにきている大山詣りのベテランの方が、「大山は別名“あめふり山”とも呼ばれているくらいだから、雨が降ったほうが縁起が良い」と教えてくれました。
大山詣りは雨乞いや五穀豊穣の御利益があるといわれているそうです。
幸い、土砂降りになることもなく、雨で少し霞んだ神社の様子が厳かな雰囲気を醸し出していました。
神社で祈祷していただいたあとは、参道沿いにある宿坊で豆腐料理を食べて、帰路につきました。
江戸の人々もやはり町内の人たちと大山詣りをしていたそうですが、江戸時代にはロマンスカーはないので、5日ほどかけて参拝しに来ていたそうです。
5日も一緒に行動していたら親交はより深まりそうですね。

普段は挨拶程度の関係でしたが、今回の大山詣りでご近所の方々と親しくなることができたので、早速大山詣りのご利益をひしひしと感じています。
今後も町内会の行事があるときは積極的に参加してみようと思います。

執筆者:箱崎