天なびコラム

第8401話

2023年10月28日

濃尾地震

今から132年前の今日、1891年10月28日、激しい揺れが東海地方を襲いました。
後に濃尾地震と呼ばれることになるこの地震は、岐阜県を中心に甚大な被害を与え、死者・行方不明者は7000人を超えました。

ここまで大きな被害を出した一つの要因として、地震の規模の大きさがあります。
濃尾地震は内陸の断層が活動した直下型地震でありながら、そのマグニチュードは8.0と考えられており、これは同じ直下型地震であった阪神淡路大震災や熊本地震と比較すると、そのエネルギーの差は10倍以上となります。

この濃尾地震、明治以後の近代日本を初めて襲った巨大地震であり、現在の地震対策の礎となりました。
例えば、地震の際地表に出現した根尾谷断層は、上下に約6mものずれを生じさせ、研究者の調査の対象となりました。
当時は断層活動が地震の原因であることすら分かっていなかったため、この調査は学術的にも非常に価値のあるものとなったそうです。
また、明治の近代化の過程で建築された煉瓦造りの建物が多く倒壊したことから、倒壊原因の調査が行われ、耐震建築への関心が高まるきっかけともなりました。

これだけの巨大地震でありながら、発生から長い年月が経っていることもあり、風化が進んでいることは否定できません。
しかし、後世に語り継いでいかなければならない災害の一つだと私は考えています。


執筆者:クリプトメリア