天なびコラム

第8427話

2023年11月23日

海岸の花畑

冬の日本海というと、空は曇ってどんよりと暗く、寒風が吹き荒び、猛々しい高波が打ちつける、不安感や物悲しさを覚えるような風景をイメージしますが、そんな自然の厳しさが時に不思議な景色を見せてくれることもあります。

ここ最近は日本海沿岸部に滞在していて、毎日のように海沿いの道路を車で移動しています。そんな中で見かけたのが「波の花」でした。
波の花というのは、高波が砕けたり海岸に打ち寄せたりした際に、空気と混ざって白く泡立ったもののことを言います。植物プランクトンや藻類が海水に粘り気を帯びさせていることが泡のできる要因になっているのだそうです。冬の時期、日本海沿いで岩場の多い場所であればよく見られるようですが、特に能登の海岸が波の花スポットとして有名なようです。
初めに見つけたときは白くもこもことした物体の正体が分からず、それが路上に散らばっているものですからぎょっとしたのですが、目が慣れてくると波の花が岩場やそのすぐ横の国道にまでびっしりと広がった様子がさながら「花畑」のようで、なかなか面白いものに出会えたなあと気分が上がったのでした。花畑と言ってもすてきなのは見た目だけで、その実、海水の塩分とプランクトンのぬるぬるが混ざったかたまりなので、あまり清浄なものではないのですが…

波の花は、強風・高波・低温というように荒天の条件で発生しやすいものです。もし狙って見に行こうという方がいらっしゃいましたら、安全に気を配っておでかけください。


執筆者:きぼりぐま