天なびコラム

第8443話

2023年12月09日

熊彫

私がペンネームに冠しているのは、あちこちの家で玄関や床の間に住み着いている北海道みやげのクマのことですが、その木彫りの熊「北海道発祥地」を先日訪れました。

木彫り熊が作られ始めたのは道南にある八雲町です。道民の方でなければ位置がピンとこないかもしれませんが、函館から80kmほど北上したところにあり、太平洋と日本海の両方に面しているという特徴をもっています。
立ち寄った「木彫り熊資料館」で読んだ説明によると、八雲熊彫は尾張徳川家の徳川義親さんが旅先のスイスで民芸品の木彫り熊に出会ったことがきっかけで、いまから100年前の1923年にそのクマを八雲に持ち込み、農業収入が落ち込む冬期の副業として木彫り熊の制作を奨励したことに始まるのだそうです。
資料館には、毛並みを細かく表現したリアルなクマや、シンプルな面で構成する八雲独自のスタイルというデフォルメされたクマ、手のひらサイズから実寸大とさまざまな作品が保管されていました。私のお気に入りは擬人化されたクマたちで、モッコを背負ったクマやサーフィンでもするかのような躍動感あるポーズで小舟の船頭をするクマの姿が、健気でかわいらしく見ていてほっこりとした気持ちになりました。

資料館のほかにも、おみやげ店やお菓子屋さん、喫茶店やバーなど町内のいろいろな場所に木彫りの熊がいるのだとか。今回は車での移動中に休憩がてらちょこっとだけ寄っただけでしたが、個性あふれるクマたちに会いにまたいつか再訪したいと思います。


執筆者:きぼりぐま