天なびコラム

第8451話

2023年12月17日

ジャネーの法則

今年も残り僅かですね。クリスマス、大晦日、そして元旦に向かって、忙しなくも1日1日の時の刻みをしっかりと噛みしめながら過ごすことのできるこの時期が私はとても好きです。(私の誕生日が年末ということもあるかもしれませんが。。)

時間は地球が誕生した時から(あるいはその前から?)、常に一定の長さで流れ続けています。それは現在から未来にかけても同じです。しかし、その時間の長さの感じ方は、人の心の有り様によって一定ではないように思えます。楽しい時間はあっという間に過ぎ去るように感じますし、辛い時間は永遠のように長く感じることもあります。時計の針は確かに一定のリズムで時を刻んでいるはずなのに不思議です。

そして、歳を重ねるとともに、時間が早く過ぎていくような感覚があります。小学生の頃は1学期の始業式から夏休み、2学期、そして3学期の終業式まで気の遠くなるような長い時間を過ごしていたように思いました。それに比べて今の年齢では、この前新年の挨拶をしたばかりなのにもう忘年会のシーズンが来たのかと感じます。

19世紀のフランスの哲学者、ポール・ジャネは『人生のある時期に感じる時間の長さは、年齢の逆数に比例する。』という法則を見つけました。5歳の子は50歳の人より時間を10倍長く感じ、50歳の人は5歳の子より時間が10倍速く感じるということです。つまり、50歳の人の1年は5歳の子の約37日程度でしかないことになります。この心理的な時間への影響を『ジャネーの法則』と呼びます。

ジャネーの法則に従うと、これから先の時間の刻みはさらに早くなるのでしょう。そう思うと、与えられた残りの時間が勢いよく過ぎ去ってしまわないか恐怖を感じます。ですが、単調に流れ続ける時間に変化を与えるべく、私達人間は時間の中にたくさんの区切りを作ってきました。誕生日や結婚記念日などのたくさんのアニバーサリー、ひな祭りや七夕など季節のイベントもそう。
そして、これから迎えるクリスマスと大晦日、そして元旦。1年の終わりとはじまりという大きな時の変わり目を前に、1日1日の時の歩みを噛みしめて、時間と向き合い、今という時間をしっかりと心に刻んで過ごしたいと思います。

このコラムをご覧頂く皆様が暖かで緩やかな年末年始を迎えられますように。

執筆者:そら