天なびコラム

第8476話

2024年01月11日

煙る水面

11月に私のコラムで「波の花」を紹介したのですが、またまた冬の海ならではの現象と遭遇できたので今回はそのお話です。

ピリっと冷えた朝の空気の中で海岸に立つと、沖の方を海霧が一面に覆っている光景を見ることができました。「けあらし」と呼ばれる冬の風物詩で、冷たい空気が海上のあたたかい空気と混ざることで発生するものです。穏やかに風の吹く、よく晴れた冬の朝に海や湖の上に出現します。文学や芸術において「霧」が描かれると、それはしばしば神秘的な要素を加え期待や不安に包まれた不思議な舞台を演出するのに一役買っていますが、夜明けの海に立ち込める霧を朝日が照らしてきらきらと輝かせている様子は夢の中の景色で、淡く美しいものでした。

冷え込んだ日の朝から水辺にいるなんて物好きなひとはなかなかいないかもしれませんが、おすすめしたい見事な風景です。気持ちのよい1日のスタートが切れること間違いなしです。


執筆者:きぼりぐま