天なびコラム

第8504話

2024年02月08日

とりあえず鰻

鰻というと土用の丑の日、つまり、夏真っ盛りの暑い日に食べるイメージがあります。鰻の歴史を紐解いてみると、かの有名な万葉集には、大友家持がこんな詠を読んでいます。「石麻呂(いはまろ)に われ物(もの)申(まを)す 夏痩(やせ)に良(よ)しといふ物そ 鰻(むなぎ)取り食(め)せ」今風にいうと「鰻を食べて夏バテ対策!」ということですね。私たち日本人にとっては「夏バテ対策と言えば、鰻」というイメージは少なくとも1300年はあるもののようです。徳川家康が江戸湾(現:東京湾)で取れる鰻を「江戸前」と呼んだりと、江戸時代にもブームになっていたり、「うなぎのぼり」という慣用句があったり、落語に取り込まれていたり、とやはり日本文化に欠かせないものだなあと感じます。ちなみに、天然物の旬は秋の終わりから冬だったりします。特に現代だと、養殖のものを食べることが多い気がするため、あまり気にならないのかもしれません。

先日風邪をひいてしまった時期があり、自分の上司二人からなぜか共通して「鰻」を食べたら元気が出る、という謎の励ましを受け、奮発して、ちゃっかり鰻を食べて復活しました。皆さんもちょっと変わった時期かもしれませんが、鰻を食べてみてはいかがでしょうか?


執筆者:うらしま