天なびコラム

第8518話

2024年02月22日

南の島から宇宙へ

先日、新型の国産ロケット、H3の打ち上げが行われましたね。
前回の失敗から約1年、鬼門だった第2段エンジンの燃焼も無事に行われ、打ち上げは成功しました。

私も、当日は打ち上げの生配信を視聴していたのですが、成功が分かった瞬間に技術者の方々が抱き合う姿を見て、本当に感動しました。

さて、このH3ロケットはご存知の通り、種子島宇宙センターから打ち上げられたわけですが、なぜ種子島に発射場があるのでしょうか。
本土で製造した部品をわざわざ種子島まで運ぶわけですから、それなりに理由があるはずです。

実は、これには赤道が大きく関係しています。

通信衛星や気象衛星は、赤道上空約36000kmの静止軌道と呼ばれる軌道に乗せられるのですが、この場合、赤道上からロケットを打ち上げるのが最も効率的なのです。
もし、北極や南極に近い場所で打ち上げを行うと、赤道上空に人工衛星を移すには多くのエネルギーが必要となります。

また、地球の自転速度は赤道に近づくほど大きくなるため、赤道により近い場所で打ち上げを行えば、地球の自転の運動エネルギーをロケットのスピードに加えることができます。

そのほか、周辺が海で開けているなどの理由により、日本の最南端に近い(発射場選定当時、沖縄はアメリカ統治下)種子島に発射場が建設されました。

なお、H3ロケットは今後年間6機ペースで打ち上げを行えるよう体制を整える方針で、気象に関係するところでは、次期気象衛星「ひまわり10号」が2028年度に打ち上げを予定しています。

今後のH3ロケットの活躍が非常に楽しみです。


執筆者:クリプトメリア