天なびコラム

第8593話

2024年05月07日

田植えの季節

ゴールデンウィーク後半は全国的に晴れる地点が多く、おでかけ日和の連休となりましたね。天気が良すぎてむしろ暑いくらいだったかもしれません。そんな初夏の陽気に誘われて、私も部屋を飛び出し電車に揺られてきました。

車窓からの眺めで一際目を引いたのは田植えして間もない田んぼの風景でした。「夏も近づく八十八夜」とは先日のことだったので(あの歌は茶摘みの光景を歌ったものですが)、たしかに田植えも始まるような時期にはなっているのです。とはいえ、つい先日見頃を迎えた桜の花を北海道で見てきたばかりということもあってか、もうそんな季節が来たのか!と少し驚きました。
まるで鏡のように水面が青空を映し、遠くに浮かぶ雲の影が揺らめいている様子に静かな感動を覚えました。整然と並ぶ稲苗が風にさわさわと優しくなでられている姿は心を穏やかにしてくれます。周りの山々に芽吹く新緑も素朴な風景に彩りを添えていて、なんとも心地よい眺めでした。

水田に映る風景は、まるで時間が止まったように静かで、それでいて生命の息吹に満ちていました。穏やかな空気と豊かな自然に囲まれて、心が洗われたような気がします。
あの苗が穂を実らせるのはまだまだ先なのですが、なんとなくスーパーでお米を買ってから、家路に就いたのでした。


執筆者:きぼりぐま