天なびコラム

第8618話

2024年06月01日

幸せのカテゴリー

ジメジメと蒸し暑さを感じるような日も現れ、いよいよ梅雨が近づいてきたことを感じます。梅雨は梅雨で紫陽花を愛でたり、休日におうち時間を楽しんだり、雨の多い季節ならではの楽しみもありますが、近年は梅雨後半にほぼ毎年どこかで線状降水帯による大きな水害、土砂災害が発生しているので、気象の仕事に携わる側としては、梅雨を楽しむより緊張感の高まりの方が大きいです。

TVのニュース、最近ではSNSの投稿で流れてくる大雨の被害の様子を、被災地で頑張る人達の姿を目の当たりにする度に、自分に出来ることを頑張ろうという気持ちが高まってきます。
水害だけではありません。多くの災害や事件、事故、そして戦争。大きな不幸の中でも力強く生きようとしている人達がいることを思うと、自分の身に起こっている「自分では不幸だと思っている出来事」が、いかにちっぽけな出来事であるかを思い知らされます。

そのような大きな出来事でなくとも、例えばさりげない日常の中でも、皆少なからず辛く苦しい思いをすることはあります。その時に自分が世界で一番、或いは限られたコミュニティの中で一番、不幸な存在だと感じてしまうと、周囲の人達が相対的に幸せに見えてしまい、その人達に冷たく、厳しく当たってしまうことがあります。時には近しい人にも、友人にも、家族にも。。

ですが、自分の目に見えないだけで、周囲の人達もどこかで辛く苦しい思いをしています。いつも明るく振る舞う人も、いつも楽しそうに過ごす人も、どんな人だってどこかで苦難を乗り越え、不幸な時間を耐え抜き、頑張ってきた結果「今」があります。

自分も他人も皆、少なからず苦難を乗り越えて頑張っています。自分が最も不幸な存在ではないと気付けた瞬間から幸せな時間は始まります。人は人に優しくなれます。自分のためにも人のためにも頑張れるようになれるかも。
幸せのカテゴリーは自分の心の有り様次第。

執筆者:そら